「普段使わないものに、お金をかけられるって、相当稼いでるのかな」
ルナが、タブレット端末を操作してる伊村さんをじっくり観察しながら言う。
「その、相当稼いでるイケメンさんと、あんたと何の関係があるのよ」
「いいな彼」いつも通り、ルナは、質問なんか聞いていない。
会議室の中から林田さんが顔を出して、大きな声で言う。
「篠原さん、早く来てください。ああ、伊村さん、入力は後でお願いしますね」
林田さんに言われて、伊村さんが立ちあがった。
なぜか、その場にいた女の子が数人、林田さんの方ではなくて伊村さんの方を向いた。
「そんなにいいかな」
「伊村さんて言うんだ。覚えちゃった」
「ルナは、伊村さんがいいんだ」
「いい男なら、何でも素敵」
「あ、そう」
私は、密かに戸田さんがいいんだけど。
フロアを見渡したけど、やっぱり彼の姿が見えない。
「早く行くぞ」
伊村さんに背中をポンと押されて、会議室に押し込められた。
ルナが後ろでくすっと笑った。
声だけだから、表情は見ていないけど。
不気味な笑いだった。


