私は、エレベーターで恋に落ちる




こんなところで、なんで私、キスなんかされてるの?

止めてと言おうと思って口を開いたら、するっと何か口の中に入り込んで来た。

「んん……」

何これ!!

顔を背けようにもガッチリ固定されてる。

頭を押さえられ、口の中では、侵入してきた舌で口の中がかき回されてる。

彼の執拗な攻撃から逃げようとして、身をよじる。
その時に、微かに漏れた声に、彼の体が反応し、熱を帯びて熱くなる。

「ちょっと、待ってくれ。そんなにされたら……止めらんない。すげえ。もっと欲しくなる……」

そう言いながら嬉しそうにしてる。

逃げてるつもりが、彼の何かを掻き立てているらしい。
口の中、何か大変なことになってる。

「んんん……」
相手の息が上がって来た。

腕がいつの間にか背中に回され、彼の胸が私の胸に押し付けられてる。

「苦しいって。ちょっと待って……息が切れそう」
伊村さん、興奮するあまり、私に息をさせてくれない。


「俺、キスだけで……こんなに興奮したの初めてだ……」
窒息しそうなほど、ぎゅうっと抱きしめられる。

なに言ってるんだろう?この人。

骨をバキバキにして、私をスープのだしにするつもり?

その前に、窒息させて息の根を止めようとしてる?

「まずいって。キスやめられない……
でも。続きは、また今度な」

名残惜しそうに、私の唇を指でなぞる。

最後に、優しく触れるだけのキスをする。

そして、私は、彼に立ち位置を直され、顔をエレベーターのボタンの前に顔を向けさせられた。


「時間ピッタリ。はい、OK」

伊村さんは、すでにタブレット端末を手に画像を見ている。

「完璧な画像ではないけど、一応、大丈夫なことにした」

キスされた後の髪は乱れ、呆然とした表情の、とても人に見られたくない顔のまま画像に記録された。

彼はそんなことなど、まったく気にせず、OKとつぶやいた。