私は、エレベーターで恋に落ちる


どうしてよ!
すれ違う人がみんな見ないふりして通り過ぎていく。

なんで、誰も止めてくれないの?

この暴力男に、か弱い女性が連れて行かれようとしてるのに。
どうして止めてくれないの?


奥から男性が慌てて出て来た。
その男性が、私を捕まえてる男の手をつかんだ。

その男性に止められて、暴力男はようやく手を緩めた。


「何やってるんですか。相手は女の子じゃないですか、手荒な真似は止してください」

そうよ、私だって女の子よ。

ほんと、すごく痛いんだから。
ほら、もう手首がこんなに赤い。
もう、見てよ。

よかった。
ここには、まともな人がいるらしい。

「君、大丈夫?」


「大丈夫じゃありません」
泣きそうになりながら、私は訴えた。


「ちょっと、こっちへおいで」

あとから来た男性に付き添われて、私は、応接室みたいな小さな部屋に入った。


水の入った紙コップを渡され、これ、飲んでいいよと渡された。

お洒落なオフィスの割りには、水の入った白い紙のコップだっだ。