どうしてよ!
すれ違う人がみんな見ないふりして通り過ぎていく。
なんで、誰も止めてくれないの?
この暴力男に、か弱い女性が連れて行かれようとしてるのに。
どうして止めてくれないの?
奥から男性が慌てて出て来た。
その男性が、私を捕まえてる男の手をつかんだ。
その男性に止められて、暴力男はようやく手を緩めた。
「何やってるんですか。相手は女の子じゃないですか、手荒な真似は止してください」
そうよ、私だって女の子よ。
ほんと、すごく痛いんだから。
ほら、もう手首がこんなに赤い。
もう、見てよ。
よかった。
ここには、まともな人がいるらしい。
「君、大丈夫?」
「大丈夫じゃありません」
泣きそうになりながら、私は訴えた。
「ちょっと、こっちへおいで」
あとから来た男性に付き添われて、私は、応接室みたいな小さな部屋に入った。
水の入った紙コップを渡され、これ、飲んでいいよと渡された。
お洒落なオフィスの割りには、水の入った白い紙のコップだっだ。


