私は、エレベーターで恋に落ちる

「ありがとう、大丈夫だから」

彼の手に力がこもって、ぐいっと引っ張られる。

私は、彼に引きずられるまま、27階にあるオフィスの一つに連れて行かれた。

当然ながら、入り口に居合わせた人が、何人か寄って来た。

「伊村?何やってるの?その子、いったいどうしたの?」

口々に、そう言いながら、私の顔を見て行く。
見てるだけで、誰もやめなよって止めてくれないのは、なぜ?

ちょっと、何でよ。

通り過ぎる人は、私を横目で見ると、不可解な顔をしてふ~んと言いながら通り過ぎていく。

ちょっと、なんで誰も止めろって言ってくれないの?

「ちょっと、離してください!」