「えっと、あの。私、あなたと一緒になんか、行けません」
だって、怖いよ。
「なに、ふざけたこと言ってるの?早く、歩いて。オフィスまで行くから」
怖すぎる。
ついて行ったら、何されるのか分からない。
私は、歩きかけて、また立ち止まる。
やっぱり怖い。
行きたくない。
彼は、私の顔をのぞき込むと冷たく言う。
「あのねえ、君に拒否権なんかないんだよ。なんなら、すぐに警備会社呼ぼうか?」
「どうして、警備員さんなんか呼ぶんですか?」
「それ相応のことしたからだろう。行くぞ」
彼は、無理やり私の手首をつかんだ。
本当のこと言うと、この人が私のことをじっと見ていたのは、私に関心があるからじゃないかってうぬぼれていた。
顔から火が出るほど恥ずかしい。
この人は、私が犯罪人か何かだと思ってるんだ。
犯罪人?
何で私捕まってるの?
冗談じゃない!
ちょっとズルをしたかもしれないけど、私は何も悪いことはしていない。


