私は、エレベーターで恋に落ちる

あったかいな。

それに気持ちいい感触の物にくるまれてる。

高級な羽根布団のような。

ふわふわしたものの中にいるみたい。

夢の中にいるのかな。

そうなのかもしれない。

心地いい。このまままどろんでいたい。



とうとう私にも、マッチ売りの少女のようにお迎えが来たんだろうか?

お迎えらしき人は来なかったし、天に昇っていく様子も見てないけど。

ふわふわと気持ちよくて、暖かい。


「ここは、やっぱり天国かな……」


「なに言ってんだ、お前」

不意に現実的な声がして目が覚めた。
ぼんやり周りが見えてくる。

「お前?」
どっかで聞いた声だ。

だんだんぼんやりしてたものが見えてくる。


天国の様子は、どこかのマンションの一室のようだった。

天国にしては、やっぱりチープだ。
これじゃ夢がない。
フローリングの床に、ちょっとおしゃれなベッドに寝かれれているだけなんて。

「ここって……」

「大丈夫か?」
伊村さんの声が聞こえる。

声の主が近づいてくる。
足音で分かった。

彼が私を見下ろしてる。
何とも言えない表情で。

どう見ても、姿が伊村さんなんですけど。

なんで?

どういうこと?