私は、エレベーターで恋に落ちる

夢見心地で、もうろうとしている中に伊村さんの姿が見える。

「しっかりつかまってろ」

と声をかけられて、体がふわっと浮いた。

大きな背中に乗せられて、彼がずり落ちてくる私の体を上に上げようと何度も持ち上げる。

リアルだなあ。

彼の息遣い。

ぬくもりまで感じる。


会いたかった人が、目の前にいる。

私は、彼の首に腕を巻き付けている。

「良かった。来てくれたのが、好きな人で」


あったかい背中に向かって、そういったのを覚えている。

安心して、大きな背中に揺らされるたびに、意識がもうろうとしてそれから記憶もなくなった。


「会いたかったな」

何度か、背中に向かって呟いたけど、返事は返ってこなかった。