私は、エレベーターで恋に落ちる

自分のカードキーをかざすと、エレベーターのランプが付き、扉が閉じた。

モーター音がして、エレベーターが上に上がっていく。

エレベーターが停止して、屋上についた。

ゆっくりと扉が開く。

屋上に通じる出口に着いた。

ここからは、ガラスの扉を開けて、階段を昇ればヘリポートのある屋上だ。

この前伊村さんと来たのと、違う出口に出たみたいだ。


エレベーターから降りて、外に出ようと思ったけれど、建物の外に出るにはカードキーだけじゃなくて、南京錠の鍵がいることを思い出した。

ドアの横にある、電子錠のところに、念のためにカードだけかざしてみたけれど、開くどころか、ピッといったきり扉は開かなかった。

「やっぱりダメか」

ビルの下の夜景を見ることはできなかったけれど、ガラスのドアから見上げれば、空にぼんやり星空が見えた。

しばらくそれを眺めていたけれど、硝子戸を隔てているとはいえ、ビルのてっぺんだから寒さは尋常じゃなかった。

シンガポールはどっちの方角か、調べようと思ったけれど、携帯の電波は完全に圏外だった。