私は、エレベーターで恋に落ちる

ビルの中を当てもなく歩いていると、伊村さんと歩いた場所に行きあたる。

このレストランの近くで、戸田さんがルナといるのを見かけて、慰めてくれた。

一緒にいるときは、気が付かなかったのに。

急にいなくなると寂しくなる。


エレベーターで1階のエレベーターホールまで降りてみる。


ホールに出ると、ホテル行きのエレベーターがあった。


『ここへはホテルのエレベーターからもいける』

伊村さんがそう言っていたのを思い出した。



誰も乗っていないエレベーターに乗ってフロントまで上がってみる。

「いらっしゃいませ」
エレベーターを下りると、丁寧に迎えられた。

木目調の落ち着いた、重厚なつくりのフロントをすり抜けて、別のエレベーターに乗り替える。

フロントから上に向かうエレベーターは、客室を通るためにやっぱりカードキーを必要としていた。

キーがいる。

試しに、26階のIDカードをかざしてRボタンを押してみる。

ビンゴ!

何と、オフィス用のカードでホテルに入れてしまった。

「ホントここのシステッムって、ざるなんだな」
後で、林田さんに報告しよう。