「あのねえ、レザンに来るっていうことは、この店の料理が食べたいってことだろ?なら、客はこの店に合わせなきゃいけない」
「はい」
いえ、文句を言いたいんじゃないんですけど。
「ここの店と同クラスの店は、どこも客の品位を気にする、だから、どこに行っても同じだよ。マナーにかなってない時は、人目に触れないようにする。それとも別に、人目を気にせず、ゆっくりしたい時にも、個室にするけどな。二人でいちゃつけるし。もし、そうしたいなら、部屋にする?」
「いいえ。結構です。よくわかりました。そんなことに使うんだ。料理が可哀想」
ようするに、人に見られたくない時ってことだ。
「いちゃつくは、冗談だけど、料理もいちゃつくのも両方味わいたい時は、いい選択だよ」
伊村さん、そういうデートするのにこういう店に来るの?
ニヤニヤ笑ってしまう。
待ち合わせのための場所も、ゴージャスなソファが置いてあるし、部屋のように広い空間だった。
確かに、異世界だわ。
重厚感と現代的な雰囲気が調和する空間、貴族の邸宅か、どこかの古いお城みたい。


