高級なところだけじゃないて言うのは分かる。
私だって、結婚式で単なる高級店になら言ったことぐらいあるもの。
でも、そういう店はタキシードの執事さんなんかいなかったって。
どうしよう。
この人たちの人件費考えただけで、恐ろしくなりそう。
「目の玉が飛び出そうな値段だったら、帰ってこればいいか」
小さくつぶやく。
ホールを抜けて、店に近づいていくだけで緊張してきた。
入り口で、女性の方だけご遠慮くださいって、門前払いされたらどうしよう。
「目の玉が飛び出そうなって、どれだけすごいと思うの?」
と彼が逆に面白がって聞いてきた。
「い、一回の食事で一万円とか」
一回の食事で、諭吉先生を超えるなんて。
恐れ多い。多すぎる。
「なんだよ。その程度で目の玉飛び出るの?」
と、逆に驚かれた。
「レザンなら、ランチとか、一品頼んでもそのくらいはかかる」
「ランチで?」ランチで諭吉様。
ドギマギしてると、
「一応、高級店だから軽装だと入れないけど。まあ、大丈夫かな」
私の服装をチェックするように上から下まで、私の体に視線を向けてきた。
「伊村さんだって……」
「俺?ちゃんとジャケット羽織ってるし、いつもはこれで行けるから、問題ないと思う」


