エレベーターの階数を表す数字が、53という数字のところでランプが止まった。
私は、自分とは縁のない世界に向かう装置のように、表示ボタンを見つめてる。
「レストランってこんな上の階にあったんだ?」
私は、停止階の53階という表示を見ながら言う。
上の方には、私が知らない高級なお店や、会員制のバーがあって、そういう高級な店を当たり前に使っている人たちがいる。
想像したことない世界だ。
ゴージャスな内装に、落ち着いた雰囲気。すごいんだろうな。
「上のレストランって、「レザン」のこと?」
「お店の名前、レザンっていうんだ。何件かこのフロアにお店があるのは知っているけど、自分には関係ないって思ってた」
「そうかな。お金さえ払えば、なんだって食べられる。ビル中に店の宣伝してるし、ホームページだってちゃんと宣伝出してる。嫌でも目に入るだろう?」
だから、エレベーターが違うっていうだけで、蚊帳の外になってる気がする。
「上に行けば行くほど、値段って吊り上がるもんでしょう?だから、下にしか目がいきません」
ゆっくりとドアが開いた。
彼が、私の方を見て言う。
「そうしたら、今日は、特別。異世界へ連れて行ってやるよ」
彼が背中を押して、私はエレベーターからフロアに下りた。
「うわっ」


