「これは、上の住人やVIP用のエレベーターで、地下の駐車場から直接部屋まで上がれるようになっている。誰にも見つからずに、エレベータで上まで行けるんだ。
今日は、一応、レストランを使うからこのエレベーターを使う権利はある」
停止階のボタンが42F以上しかない。
「ついでに防犯カメラと、IDカードのチェックをしておくか」
そういうと、彼は全部の階のボタンを押した。
エレベーターが途中で止まった。
「52階?そういえば、この階って謎だね。誰が住んでるの?」
彼が、ニヤッとする。
「さあね」
「いらっしゃいませ」
黒服のドアマンのような人にかしづかれた。
「点検です。異常ありませんか?」
伊村さんが声をかける。
「はい。ご苦労様です。行ってらっしゃいませ」
深々と頭を下げて見送られた。
「勝手に、このフロアに降りたらどうなるの?」
扉が閉まってから言う。
「まず、5秒も経たないうちにつかまって、警備員に身柄を確保される。その後は……」
どうなるのか、俺にもわからない。


