「……海也……」 ーー嘘。 本当に動かない……。 人間って、こうも簡単に息絶えてしまうもの? 「だ、誰かっ」 急いで周囲をを見渡す。人影なんてまるで無い。 誰か、救急車呼んでよ。 アイツら、なんでこんな海也を放置して去ることが出来るわけ? 止まらない涙を拭くこともせずに、抱き抱えていた海也の頭をそっと、石の上に置く。 「待ってて……」 ジャージの上を脱いで、それを海也の頭の下に敷いて助けを呼びに行こうとした。 「……緒先……」 その私の手を、 海也が掴んできた。 「死んだフリ……」