深雪に指を切られた日。 責任感から鞄を届けてくれた緒先。 着替えの手伝いもすんなりOKしてくれて、 ゆっくりボタンを外してくれる彼女の指にこそばゆさと焦れったさを感じて、 嫌われるかもしれないと思っても止まらずに思わず抱き締めた。 「……か、海也く……」 更に力を込めると、苦しそうな声をあげた彼女。 予想どおり、とてもいい匂いがした。 ピンポーン。 あの時、生野親子が来なかったら多分俺はそのまま突っ走ってたような気がする。 結果的は、また同じことをやって怖がられてしまったのだけど。