自分の手を空に翳して眺める東条。俺の目から見えも、綺麗な手に見える。 「き、綺麗な指だと思うよ、俺は!」 ……どうやら青山もそう思っているらしい。 すると有森先生は「でもね」とまだ泣きながら話す。 「楽器は繊細なものなの。あなたのささくれ一つで音が飛んだり鈍ったりするのよ。よく覚えておきなさい」 「は、はい……」 怒られた東条はシュンと肩を落とす。 俺としても、せっかく出来るようになった家事の一つを奪わないでほしいと内心イラつく。