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コンコン

「はい、どうぞ。」

「夕、体調大丈夫?」

「あ、お母さん。うん、今日は大丈夫だよ。」

だってこの1週間は、休養期間といって、抗がん剤を打たない。

「はい、言われてたもの。」

「あ、ありがとう。行ってきたんだね。」

渡されたものは、カメラ。

「うん、久しぶりにお父さんとデートしてきたわ!あのね、私とお父さんは、遊園地デートとか行くとね、絶叫系に乗りまくるの!ディズニーでもいっぱい乗ってきたわよ!!久しぶりだったわ、あんなにお父さんと笑いあったの。」

「そっか。」

お父さん、お願いです。
私が死んだら、お母さんは壊れてしまうと思う。
だから、お母さんの笑顔を守って下さい。
それは、お父さんにしかできないから。

私は、着々と死ぬ準備をしていた。

自分の心を見ないふりをしてーー。