ー夕ー
毎週末奏ちゃんが来てくれて、家に泊まる。それが日課になっている。
今日は月曜日。はやく奏ちゃんに会いたい。
ガラガラガラ
「夕姉ちゃん!」
「栞ちゃん。ノックしなきゃダメだよ。」
「あ、忘れてた。ごめんなさい。」
「次からは気をつけてね。」
平日は、栞ちゃんが来てくれる。大丈夫、私は1人じゃない。
「今日は、どんな絵を描いてるの?」
「今日は、私の大切な人達だよ。」
「え、でも、人は一人しかいないよ?」
そう。この絵には一人しかいない。あとは動物とかだ。私は大切な人達を抽象的に描いているんだ。
「これは、その人が私にとってどんな存在かを絵にしてるの。」
「えー、どういうこと?」
「例えば、この猫。誰だと思う?」
「うーん、わかんないや。」
「栞ちゃんだよ。」
「え、栞?」
「そうだよ。栞ちゃんは、いつも私の心を癒してくれるの。私ね、一番、猫が好きなんだぁ。」
「ふーん。」
いまは、よく分からなくていいからいつか分かってほしい。
私の想いを……。
コンコン
「はい?」
「栞ちゃん居た。もう検査の時間だよ!」
「え、もう?分かった。じゃあね、夕姉ちゃん!!」
「またね!!」
さぁ、次は誰を描こう。



