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抗がん剤治療が始まり、嘔吐、体力の低下がすごくて、辛かった。

まだ脱毛は、始まってないからまだいいかな?

それでも私は、絵を描き続けていた。


「夕姉ちゃん!!」


「栞ちゃん。おはよう。」


栞ちゃんは、小児病棟に入院する女の子。
私がちょうど外のベンチに座って写生してた時に出会った。

「今日は何の絵?」

「うーん?今日は、想像画かな。見たことない風景の中に2人の少年少女がいるの。」


陽くんと見たかった景色。そこにいるのは、私と陽くん。


もう、叶わないのはわかっている。


「夕姉ちゃん、大丈夫?」


「え?」


「泣きそうな顔してるよ。」


っ!!


「……大丈夫だよ。」


そんなにバレバレなのかな?
陽くんが隣にいない日々がこんなにも辛いなんて。たかが、過去に戻るだけなのに。


「あ、そろそろ検査の時間だ!!病室、戻るね!」


栞ちゃんは、急いで戻って行った。


1人になると、無性に君に会いたくなるよ。

でも、これが私の運命なんだ。

君は今、幸せですか?