「ただいま……」
家に帰るとすぐに部屋にこもった。
パタン
「……っ、ウッヒック……ウッアアア」
涙が止まらなかった。
病気になって、学校もやめて、大好きな人とも別れた私には、生きる理由がなくなった気がした。
それでも、大好きな人を悲しませるなんてできない。
「……きっと、陽くんならすぐに新しい彼女できるよ。」
カッターが目に止まった。
これで手首を切ったら、楽になれるのかな?
カチャ、カチャ……
左手首にカッターの刃を近づけていった。その時、
「ただいま!!」
!!お母さん……
まだいる。私にとって大事な人が。お父さんとお母さんが。また、涙が流れた。
私は、部屋を飛び出して、お母さんに抱きついた。
「……あら?大きな赤ちゃんね。」
「ウッヒック……ウッアアア」
お母さんは、泣きじゃくる私を優しく抱きしめてくれた。
母の愛は、こんなにも暖かいんだ……
ごめんね、お母さん。
こんなにも弱い娘で。死のうとしちゃった。……お母さんを悲しませて。お願いだから、私から離れないでー……。



