最後に職員室に向かった。


「失礼します。富岡先生は、いらっしゃいますか?」


「おう、七瀬。どうした?」


覚悟はもう決まってる。


「学校を辞めます。」


「は?……ちょっと待って。静かなところに移動しようか?」


「はい。」


先生もきっと動揺してるんだ。


私だってもっと悩みたいよ。でも、私には時間が無い。


ガラガラ……


「座って。」


着いたのはF組の教室だった。


「はい。」


「どうして辞めるんだ?」


「私、昨日病院に行ってきました。……そこで脳腫瘍と言われました。」


「……うそ……だろ?」


「嘘だったらどれだけ嬉しいことでしょう。私だって嘘だって思いたかったです。だから、ネットで調べました。でも、症状すべてに当てはまるんです。」


私だって、違うと言って欲しかった。


「……だからってやめる必要は無いだろ?治ったら戻ってこればいいだろう。」


「……戻れるなら戻りたいです。過去に戻りたいです。」


「どういう意味だ?」


「もう手遅れだそうです。治療をしても治るかわからないんです。」


「そんな……」


「戻ってこれるのかもわからない。これからは治療費だってかかります。もうこれ以上親に迷惑をかけたくないんです。」


「……そうか。それが七瀬の決意なんだな。」


「……もう一つ私の決意を聞いてください。」


「何だ?」


「みんなには、親の転勤で海外に行ったと伝えて下さい。……病気のことは何も言わないで下さい。」


「……わかった。……お見舞行くから病院教えてくれよ。」


私は、病院を教えて家路に着いた。