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ガラガラ……
「お座りください。検査結果ですが……七瀬さんの頭痛の原因は、脳腫瘍だとわかりました。」
……脳腫瘍?
「そ、そんな!?」
隣でお母さんは、声を荒らげた。
「……」
私は、声をあげなかった。……いや、あげられなかったんだ。
「悪性の可能性が高いかと……進行が早く、もう手術するには厳しいです。」
「先生!……お願いします、この子を、この子を!!」
「治療方針としては、化学療法を用いて腫瘍を縮小させてから手術をするという治療です。」
化学療法?……手術?
そんなすぐに受け入れられなかった。
でも、とりあえず命が危ないのか……
「じゃあ、この子は助かるんですね?」
「全力を尽くしますが……」
「先生……。私はあとどれぐらい生きれますか?」
「治療をしなければ、3ヶ月。治療をしたとしても、1年持つか持たないかです。」
……1年。
「この子は、助かるじゃないんですか!?」
「そう簡単に化学療法の効果は、出ません。''もし''化学療法の効果が出れば、助けられるかも知れません。」
「化学療法でもなんでもいいので、この子を助けてください!!」
……どうすればいいの?
わからないよ、陽くん。
「お母様、落ち着いて下さい。……夕さん、化学療法はとても辛い治療です。髪が抜けたり、嘔吐したり、体力も低下します。効果が出なければ、延命治療になります。それでも、化学療法を使い、完治を目指すのか、1日考えてください。……明日また、教えてください。」
「明日までに、決められなかったらどうすればいいですか?」
「明日からは、入院してもらいます。入院中にゆっくり考えてください。」
「……わかりました。」
それからどうやって家に帰ったのだろう。
気づくと私は、静かに涙をこぼしていた……。



