ガラガラガラ

「……夕ちゃんに声をかけてあげて。」

「……先生。」

ピッピッピッピッ

この音だけが、夕が生きているという証拠なんだ。

「っ!夕ちゃん!!ズッ、い、嫌だよ。
ねぇ、最期なんて嫌だよ!!
奇跡を起こしてよ!!ズッ……」

「七瀬、おい!七瀬!!」

みんなが叫びながら泣いていた。

俺はその中で静かに涙を堪えていた。

「おい!陽!!お前もなんか言えよ!!」

俺は、夕の左側に立って、

「夕……。
よく頑張ったな。俺の自慢の彼女だ。
……もう頑張らなくていいよ。」

「何言ってんだよ、陽!!」

「夕は!!……頑張ったじゃねぇかよ。
余命1年と言われてたのに、こいつは2年以上生きたんだ。……褒めてやろうぜ。」

「……そ、そうだね。ズッ……。夕ちゃん頑張ったね!」

みんなが無理やり作った笑顔で夕を褒めている。