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「夕、今日卒業式だったぜ。」

俺は卒業式の後、夕の病室に向かった。

……夕は、小さな奇跡を起こしたんだ。

高1の時に余命1年と言われた夕は、今も生きている。

といっても、ここ3ヶ月、目を覚ましている所を見てない。

それにあのクリスマスデート以来、デートも出来てない。

「なぁ、夕。卒業式の後さ、1-Fのメンバーで写真撮ったんだ。ほら、見てみろよ。みんな夕に貰ったあの絵を持ってきてたんだ。」

……でも、そこに夕は居なかった。

「……なぁ、目を覚ましてくれよ。もう1度、俺の名前を呼んでくれ。……っく。」

涙が止まらなかった。

「…っく。ご、ごめんな。今日はもう、帰るわ。またな。」

俺は、病室を静かに出た。

……夕を起こさないように。