「卒業生答辞。卒業生代表、長谷川 陽。」
「はい。」
なぁ、夕。
ちょー恥ずかしいよ、答辞なんて。
でも、伝えたいことがあるんだ。
ちょっと、伝えてくる。
「寒さの厳しい冬も過ぎ、桜の蕾が膨らむ今日、僕達はこの高校を巣立ちます。
3年前の春、新しい制服を身につけて宮城高校の正門をくぐりました。
この3年間、たくさんの事がありました。仲間とぶつかり合い、支えあい、ここまで来ることが出来ました。」
夕に別れを告げられたあの時、安田が声をかけてくれなかったら、俺は立ち直れなかっただろう。
夕の病気を知った時、一緒に悲しんで励ましてくれた、みんな。
夕があのコンクールの授賞式で言った通り、俺の周りにも暖かい人はいっぱいいるんだ。
「誰かが言っていたように、僕らの周りにはたくさんの暖かい人がいることに気づくようになりました。
両親や先生方、仲間、そして愛する人。
僕達を支えてくださった方々、本当に感謝しています。
これからは、支える側になれるよう精進していきます。
本当に3年間ありがとうございました。」
こうして、俺達の3年間が終わったーーー