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ガチャ
「ただいまー。」
あ、お父さんだ。
「おかえりー。」
もう1度お父さんにおかえりを言えた。
どうしてかな?人生で1番緊張した‘‘おかえり’’だった。
「お邪魔してます。」
陽は、お父さんに向かって椅子から立ち上がり、頭を下げた。
「陽くん、今日は夕が世話になったね。」
「いえ、デートを許していただけて本当に感謝しています。」
「本当に礼儀正しい子だな。そんなに堅くならなくていい。そんなに堅くなってたら、仲良くなれないだろ?」
お父さんは、私が陽と付き合うことに全然反対しない。
陽がいい人っていうのもあるんだろうけどね。
「はい、分かりました。ただ、一応敬語は使わせてください。」
「まぁ、いいだろう。時間が経てば、タメ口にもなるだろうからな。」
……でも、おかしいよね?
娘に彼氏が出来てもその彼氏と仲良くなろうとする父親は、いないよね?
「よし、お父さんも帰ってきたことだし夕飯にしましょう。陽くんも食べていきなさい。」
「え、泊まっていかないのか?」
「「え!?」」
流石にお父さんのこの発言には、お母さんも驚いてた。
「俺、てっきり泊まっていくものだと思ってたけど。」
「……いいんですか?」
「もちろん、その方が夕も喜ぶしね。なぁ、いいだろう?母さん。」
「ふふっ、いいわよー。」
「じゃあ、後で家に着替え取ってきますね。」
「あぁ、送るよ。」
「じゃあ、お言葉に甘えて。」
陽を交えた夕食は、とっても楽しかった。
もう1度、あの光景を見たいーーー。



