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「ただいまー。」

「お邪魔します。」

「夕、おかえり!!陽君もいらっしゃい!!」

お母さんは、いつものように迎え入れてくれた。

……あぁ、家に帰ってきたんだ。

そう思うと、涙が溢れそうになった。

私はいつの間にか、病室が家になったと思ってた。

けど、違ったんだ。

やっぱり、家族のいる‘‘家’’が本当の家なんだ。

「何泣きそうになってるのよ、夕。泣いてないで、さっさとダイニングに行きなさい。」

「……お母さん、私歩けないんだけど。」

「あら、そうだったわ。」

その言い方分かってて言ったでしょ?

……でも、お母さんって凄いね。

一瞬で涙が引っ込んだよ。

「陽くん、この子連れてって。」

「分かりました。」

そう言うと、陽は私をお姫様抱っこで抱きかかえた。

「はい、着きましたよ。お姫様。」

「ふふっ。ありがとうございます、王子様?」



「……若いっていいわね。」

「そうだね、若いっていいね。」

「あら、嫌味な娘ねー。」














お母さん、本当にありがとう。

いつも通り、私が病気になる前みたいに、くだらない事で笑ってくれてありがとう。

私は、お母さんが大好きです。

……そして、親より早く死ぬ親不孝な娘でごめんなさい。