「あの、2人の写真撮ってもいいかな?」

「え!?」

いきなり声をかけられて少しびっくりした。

「あ、怪しい者じゃないよ。僕はこういう者です。」

そう言って渡された名刺には、‘‘写真家 白井匡’’と書いてあった。

「2人を見ててね、幸せそうだなぁって思ったんだ。この幻想的な景色の中、君たちの幸せを撮ってみたくなったんだ。ダメかな?」

「夕、どうする?」

プロの写真家の方に撮ってもらえる機会なんて滅多にない。

「撮ってもらいたい!!」

「じゃあ、お願いしてもいいですか?」

「あぁ、もちろん!!……じゃあ、そこに居て!!」

白井さんは、さっき陽がいた場所へ向かった。

「あ!ちょっとイルカ見ておいて。カメラ調整するから。」

「あ、はーい!!」

私たちは、カメラの準備ができるまでイルカを見ながら話していた。