ーーー12月6日

ついに、授賞式の日が来た。

久しぶりに制服を着て、ニット帽を被り、車椅子に乗る。

コンコンコン

「はーい、どうぞー。」

「着替えられたな、よし!行くぞー!!」

陽は、優しく車椅子を押した。

茅場先生もちょっとフォーマルな私服だった。

「あれ?先生、スーツじゃないの?」

「俺が表彰される訳じゃないからな。」

「本当は、スーツ入らないんじゃない?」

え!?
言うけど、茅場先生は全然太ってない。
というか、結構すらっとした体型。

「ワッハハハハ!残念だけど、入るよ。ただ、スーツが嫌いなんだ。」

「ちぇー、なんだ。」

陽……。ちょっと拗ねててかわいい。

なんて言ったら、怒るから言わないけど。

「ねぇ、何で行くの?」

「俺の車だよ。」

良かった……。電車とかだと人が多いと、車椅子は邪魔だから。

「ねぇ、お母さんは?」

「夕のお母さんは、家でパーティーの準備するって。」

パーティーって……。お母さんらしいか。

「ちなみにお父さんは、向こうで合流するよ。」

きっと、お母さんにビデオ頼まれてるだろうな。