ー夕ー
私は、最近じっと一枚の紙を見つめるようになってた。
それは、数日前に貰った全国絵画コンクールの手紙。
「……行きたいけど。」
たぶん行けない。
自分の体のことだから、分かってしまうんだ。
「っ!!」
涙が溢れてくる……。
コンコンコン
「ズッ!は、はい。」
「「よー!!」」
「え、みんな!?」
「久しぶりだなー!聞いたぜ!!あの絵、賞貰ったんだろ?」
「あ、う、うん。」
「凄いじゃん!!もしかして、額縁に入って飾られたりするの?」
「たぶん……。」
「見たい!!」
「じゃあ、みんな見てきてくれない?……私は行けないから。」
みんなと一緒に見たかった。
あの絵を、同じ目線で。
「夕、よく聞いて。」
「どうしたの、陽?」
「授賞式、行けるんだよ!!」
ん、誰が?
「夕が授賞式で表彰状貰うんだ!!」
!!……もしかして。
「わ、私、行けるの?」
「うん、みんなに茅場先生を説得するの手伝ってもらったんだ。それで、先生もついて行くってことで許可が貰えた!!」
「ほ、本当に……?」
さっき止まったはずの涙が、また溢れてくる。
「あぁ!本当だっ!!」
「っ!!あ、ありがとう!!ウッ、ズッ!」
陽は、優しく私を包んでくれた。
私は、みんなが居たから幸せだった。
みんなが居たから頑張れた。
『ありがとう、私の最後のクラスメートへ。』



