ーーー約1週間後
今週は、休養期間でまだ体調は、マシだった。
私は、陽が持ってきてくれた写真を見ながら、みんなの似顔絵を描いていた。
て言っても、一昨日まで抗がん剤の週だったからあまり進んでなくて、まだ3人程度しか仕上がってなかった。
「ふぅー……。まだまだ出来あかがらないな。」
終業式までには完成させないと……。
コンコンコン
ヤバッ!!
「は、はあーい!!」
ガラガラ
「夕。」
そこに現れたのは、優しい声で私の名前を呼ぶ陽だった。
……バレてないよね?
まぁ、たぶん陽のことだから私がみんなの写真を取ってきてくれって頼んだ時に薄々気づいてるんだろうな。
それでも、隠していたい。
「今日さ、田丸先生からこれ預かってきた。」
それは、一枚の紙。
「……っ!!う、そ。」
そこに書いてあったのは、
『全国絵画コンクール 中高生の部 優秀賞 七瀬 夕様』
涙で文字が見えなくなった。……でも、しっかりと何度も涙を拭いながら確認した。
「このコンクールって授賞式あるんだろ?」
「ズッ、うん。そ、そこで、ズッ、優秀賞の中から、金賞、銀賞、銅賞が選ばれるの。ズッ……」
「すげーじゃん!!金賞かもしれないんだろ!?」
……行きたい。もし、金銀銅に選ばれなくてもいい。自分の絵が飾られているところを見たい。
「行きたい……。行きたいよぉー。」
でも、今の私の体じゃ無理だ。先生だって許してくれないだろう。
「行くんだよ!!俺がどんな手を使っても連れていく。」
「陽……。」
「約束する!!」
陽。
君はいつも約束を守ってくれた。
いつも希望をくれた。
いつも希望を叶えてくれた。
ありがとうーーーー



