ーーー数日後

コンコンコン

「……はい。」

「久しぶりー、夕ちゃん!!」

「久しぶりだね、瑞織ちゃん。」

久しぶりに瑞織ちゃんが来てくれた。……陽と一緒に。

「夕、大丈夫?」

うん、と言おうとしたが吐き気がして、言えなかった。

そんな私を見て、陽がすぐに膿盆(そら豆みたいな受け皿)を取ってくれた。

「ウッ、オエェ、ゲボッ!ゲホッ……オエェ。」

「夕、大丈夫か?」

陽は、背中を擦っていた。

「ハァハァ……ん、大丈夫。あ、ありがと……。」

だんだん、落ち着いてきた。

「夕ちゃん、ごめんね。なかなか来れなくて。」

「ううん、いいよ。来てくれてありがとう。」

瑞織ちゃんは、吹奏楽部に入ってるから毎日のように練習があってなかなか来れない。

「安田ー、次からは赤点取るなよー(笑)」

そう。その上、中間・期末と連続で、英語赤点だったらしい。

だから、必然的に補習決定!!

それもあって、なかなか来れなかったんだよね……。

「ウッ……。頑張ってみるよ。」

瑞織ちゃん、顔が死んでるよ……。

「あ、そうそう。はい、頼まれてたやつ。」

それは、クラスみんなの写真。

恥ずかしそうに笑う女の子、ふざけて変顔してる男の子……。

……ッー。
どうしてかな?まだ、数ヶ月しか経ってないはずなのに、とてもとても懐かしく感じる。

「…ズッ。」

「夕ちゃん……。」

「ズッ…あの頃に、ズッ、も、戻りたいよ。みんなの笑顔の中に、居たいよ!!」

自分の心をコントロールできなかった。

声を殺し泣く私を、陽はそっと抱きしめてくれた。

「夕、辛いよな?泣いても良いんだ。叫んでいいんだ。」

その言葉を聞いて、私は慟哭した。