「麗を待つって?」 「麗ちゃんがえらい学者になって、筋ジスの完璧な治療法を確立する日をね、待つんだ。 遺伝子改変操作がうまくいって、この体ごと造り替えることができるなら、 注射なんか必要なしで、自力で筋肉の損傷を修復できるようになる。 そしたら、おれ、必死でリハビリやるぜ。 もう一回、立ちたいし歩きたいし、麗ちゃんを抱きしめてみたいし」 さらりとした朝綺の口調に、ぼくの心臓は跳ねた。 床に膝を突いて、朝綺の顔をのぞき込む。 「まじめに訊くけど。朝綺は、麗と付き合ってるのか?」