麗の恋を否定したくはない。


朝綺はいいやつだ。


ぼくの親友でもある。


でも、一人のヘルパーとして、懸念せずにはいられない。


朝綺の進行性の病気は、近い将来、彼の自由を完全に奪う。


そして、短い寝たきり生活の後に、朝綺の若い命はついえる。


その運命を知りながら、諸手を挙げて麗の恋を応援することはできない。



 ぼくは何も言えずにいる。


麗は、大きな目をキッパリと見開いて、震える声で宣言した。



「あたし、明日の晩は、朝綺のところに泊まるから」



 顔が赤いのは、風呂上がりのせいではなかっただろう。


麗は一瞬、泣き出しそうに口元を歪めて、足音高く自分の部屋へ引っ込んでいった。