黙って俺のモノになれ【上】



もう2度と来なくていい。











それからもこいつは毎日毎日俺の所へやってきた。


そんなある日、俺の歯車が狂い始めたんだ。



今日もやってきた名前も知らないこいつ。



「頼むからそろそろ教えてくれよ…。俺、お前と仲良くなりてーんだ」



だけど、最近のこいつはいつもと違う。


なんつーか…本当に寂しそうな顔を浮かべながら言うんだ。


………んだよ、調子狂うな。


最初は俺の事からかってるだけだと思ってたけど、懲りずにずっと俺の元に来る様子を見るとどうやらそうでもないらしい。


こいつになら…大丈夫かな。


こうして俺は初めて人に素を見せたんだ。



「俺は…三浦優空。お前なら信じてやってもいい」



俺がそう言うと、こいつはすぐに顔を上げ驚いた目で俺を見た。



「……なっ!お前、声も喋り方も全然ちげぇじゃん!」



「何だよ…。これを望んでたのはお前だろ?」



「え…や…そうなんだけどよ。こ、これは幻か?」



こいつ…本当うぜぇ奴だな。


ってそういえば。



「お前の名前、教えろよ」



ずっと俺のとこ来てたけど、こいつ1回も名乗ってねぇからな。



「あ、忘れてた。俺は河口恒太(カワグチ コウタ)って言うんだ!よろしくな!優空!」



恒太…か。


なんだかこれから騒がしくなりそうだな。





それからというもの、俺は学校を休む回数が急激に減った。


そして…学校は辞めなかった。



………恒太をおいてやめるわけにはいかねーだろ?







春、クラス替えの季節。



「優空ー!俺ら…クラス一緒だぜぇぇ!」