全く…。
ゆっくり学校案内も出来ない。
けど、頼ってくれるってのは嬉しいことだし、適当には出来ない。
俺はできるだけ、柊さんを背中に隠し皆への対応をした。
ちらちらと柊さんの様子を伺いながら。
そして無事学校案内を終え、柊さんを教室に送り届けた。
「だいたいは案内できたと思うけど…。また分からないことがあったらいつでも聞きにおいで」
そう言うと、
「はい。あの…ありがとうございました…!すごく助かりました…」
少し遠慮気味に、だけど初めての微笑みを向けてくれたんだ。
ドキッ--
って俺は何ときめいてるんだ。
「じゃぁ俺そろそろ教室戻るよ。また放課後ね」
俺はそう言ってそそくさと自分の部屋へ戻った。
「おう、歩結おかえり!どうだった?転校生は」
「うん、すごいいい子だよ」
「とか言ってもう惚れちゃった、とか言わないよね?」
「さぁそれはどうだろうね」
本当はちょっとドキッとしたけど、旭輝には言ってやらない。
「あやしーなー。まぁ俺は応援するからな!」
「それはどうも」
それにしても柊さん、本当にいい子だったな。
心が優しい純粋な、守って上げたくなるような…。
「……っておい、歩結!聞いてるか?」
「あ、悪い…。もう一回言ってよ」
こうして俺は旭輝と残りの昼休みを楽しんだ。