黙って俺のモノになれ【上】



「行ってきます…!」



今日は一輝くんに自分の気持ちを伝える…!


少なくとも朝はそう思ってました。


そしていつものように教室につくと見える黒板の文字。



『ナンパされてた心音を一輝が助けた!』



『ヒーロー参上!!』



おまけに相合傘なんて書かれている。


あたしは何がなんだか分からなくて、教室に入る足を止めました。


すると教室の中には笑顔でクラスメートと話している一輝くんの姿があった。



「……それでさ、俺が心音を引っ張って…」



「へぇお前すげぇな!てか柊ってナンパされんだ!意外~」



一輝くんが話しているのはたぶん、この前のお祭りのこと。


……皆には…知られたくなかった。思い出したくもないあの日の出来事。


それを分かってくれたから叶愛ちゃんに言わなかったんじゃなかったの…?


一輝くんが何を考えているのか分からなくなりました。


するとあたしに気づいたクラスメートが



「よっ!ナンパされたお姫様!」



そう言ってきた。


中には一輝くんに



「ほら、ヒロインの到着だぞ!」



なんて言ってる人もいる…。


皆に悪気がないのは分かってる。


………皆いい人だから。


だけど……だけど……



「い、一輝くん……最低だよ……」



どうしても一輝くんだけは許せなかった。