「…………だけどね、心音ちゃん。無理して克服しようとしなくてもよかったんだと思うよ。俺は過去の怖さを知ってる。でもほら、こうやって俺も心音ちゃんも乗り越えられてるから。俺たちの居場所はもうあるから大丈夫だよ」
先輩、それは素じゃないんですか…?
今このタイミングで見せると皆が…。
「……翔斗?」
「え…?翔斗さん………?」
こうなっちゃうじゃないですか…。
「ごめん、皆。俺の話は後で必ず話す。今の雰囲気に“おれ”は場違いだからさ」
翔斗先輩…。
「皆の言う通りだ。大事なのは過去じゃない。今の心音ちゃんだよ。気にすることない。心音ちゃんが自分で思ってるよりずっと、キミは前に進めてるよ」
成田先輩…。
「……みなさんっ…。本当に、ありがとう…ございます……っ。皆さんに出会えて、よかった……っ…」
皆があまりにも嬉しいことを言ってくれるから。
涙は止まることを知らなかった。
《お待たせいたしました。これから後夜祭を開始します!早速ですが、生徒の呼び出しをします。以下の生徒は素早く後夜祭イベント本部まで来てください》
そんな時、後夜祭が始まる放送が流れた。
それより気になったのは…生徒の呼び出し…?
そんなのあったかな…?
そう思ったのはあたしだけではなかったらしく。
皆も頭にはてなを浮かべていた。
《それでは名前を発表します》
それでも放送は待ってくれなくて。
生徒の名前が呼ばれ始めた。
《普通科2年E組 西宮楓さん》
「…呼び出し?歩結は何も知らないのか?」



