黙って俺のモノになれ【上】



「…………だけどね、心音ちゃん。無理して克服しようとしなくてもよかったんだと思うよ。俺は過去の怖さを知ってる。でもほら、こうやって俺も心音ちゃんも乗り越えられてるから。俺たちの居場所はもうあるから大丈夫だよ」



先輩、それは素じゃないんですか…?


今このタイミングで見せると皆が…。



「……翔斗?」



「え…?翔斗さん………?」



こうなっちゃうじゃないですか…。



「ごめん、皆。俺の話は後で必ず話す。今の雰囲気に“おれ”は場違いだからさ」



翔斗先輩…。



「皆の言う通りだ。大事なのは過去じゃない。今の心音ちゃんだよ。気にすることない。心音ちゃんが自分で思ってるよりずっと、キミは前に進めてるよ」



成田先輩…。



「……みなさんっ…。本当に、ありがとう…ございます……っ。皆さんに出会えて、よかった……っ…」



皆があまりにも嬉しいことを言ってくれるから。


涙は止まることを知らなかった。

























《お待たせいたしました。これから後夜祭を開始します!早速ですが、生徒の呼び出しをします。以下の生徒は素早く後夜祭イベント本部まで来てください》



そんな時、後夜祭が始まる放送が流れた。


それより気になったのは…生徒の呼び出し…?


そんなのあったかな…?


そう思ったのはあたしだけではなかったらしく。


皆も頭にはてなを浮かべていた。



《それでは名前を発表します》



それでも放送は待ってくれなくて。


生徒の名前が呼ばれ始めた。



《普通科2年E組 西宮楓さん》



「…呼び出し?歩結は何も知らないのか?」