黙って俺のモノになれ【上】



「……俺の知ってる“人”っていう奴は、皆みんな俺の見てくれやレッテルしか見てくれなかった。だから俺は…人を信用することをやめた。だってバカバカしいだろ。そんなふうにしか自分を見てくれない奴と本気で付き合ったって。そう思ったから“友達”を作るのもやめたんだ」



「けどっ──────」



「うるせー!お前には俺の気持ちなんて分かんねーよっ…」



それでも俺がモデルをやめなかったのは他でもない。


──────家族のため。


お世辞でも裕福とは言えなかったうちは、俺が小さい頃から色々苦労してた。


両親が腹いっぱい飯を食えてない事だって知ってた。


モデルの仕事だって最初はするつもりじゃなかった。


……………けど







────『本当は服や移動にかかるお金は自己負担なんだけど…それもこちらが負担する。だから1回だけでも来てみないか?』





あの時スカウトしてきた今の俺のマネージャーでもある人…速水彰吾(ハヤミ ショウゴ)の押しに根負けした事から全ては始まった。


後で速水に何であそこまでしたのかって聞いたら『お前には何か光るものを感じたからな』って。


本当、意味分かんねぇよな。


けど、モデルの仕事はやってみると何か楽しくて。


売れればそれなりのお金が手に入った。



──これなら家族を助けられるかもしれない。


その一心で俺はモデルを続けることにした。


それからは少しずつだけど家庭も穏やかになっていって、モデルの仕事にはすげー感謝した。


その仕事がまさか、こんな風に周りの人を変えるなんてガキだった俺は考えもしなかったわけだけど。