遠目では気づかなかったけど、心音の目元は心なしか潤んでいるように見えた。
泣く寸前ってところか…。
俺は役目を果たせなかった。
この事もこいつが一言、誰かに言ってしまえば湊叶あたりからすげー罵倒されそう。
「ごめんなさい…」
だけど心音の反応は、
俺の予想とは全く違うものだった。
謝罪?の前に……
「……お前、引かねぇの?」
「……何にですか?」
訳が分からない、とでも言うような返事をする心音。
まさか知ってた?
いや、そんなはずない。
……じゃあ何で?
「俺の口調とか、声のトーンとか…」
まさか、さっき俺がドラマのワンシーンとか見せたからそれだと思ってんのか?
「言っとくけど、こっちが俺の本性だけど?」
ならもう暴露してやる。
中途半端に見せて、ありもしない噂される方がめんどくさい。
そう、思ってたのに───────
「確かに、驚きはしましたけど…引きません。どんな話し方でも優空くんは優空くんです…」
やっぱりこいつの返答は俺の考えをいとも簡単に超えてきた。
「やっぱお前、変だよ…」
だっておかしい。
女は俺の見てくれだけを見てるんじゃねーの?
女だけじゃない、男だって同じ。
モデルってだけで他は何も違わないのに自分のモデルの理想論を押し付けてきて…。
モデルだからかっこいい。
モデルだから誰にでも優しい。
モデルだから…
───────何でも持ってる。
だけど実際、そんな理想を兼ね備えた人なんて数えるほどしかいない。
「どうして…?」



