もしかしたら今頃、迷子になって困ってるかもしれない。


もしかしたら心細くて泣いてるかもしれない。


それだけでも任務は失敗。


もし今たくさんの男に囲まれて怯えてたら?


それこそ任務は失敗だ。


それが俺の当番時に起こったとしたら、俺は俺を許さない。


これじゃ湊叶に…人のこと言えねぇよ。


そう思うと段々自分に腹が立ってきて、俺は我を忘れて桜河の敷地内を探し回った。















それから数十分後。


ほぼ諦めかけたけど、俺はせめてもの悪足掻きで人がほとんど寄らないと噂のあの場所に行ってみた。


俺だってこんなとこ来たことねぇ。


芸能科の棟に近いグラウンドの端の端。


時には出る、とまで噂された少しだけ薄気味悪い場所。


何でもその少し先には古ぼけた小さなトンネルがあるんだとか。


見たことねぇからよく知らないけど。







そこに近づくにつれ、賑やかな声が遠ざかっていく。


…………まさか、こんなとこにいるわけないか。


いくら何でもここには──────


それでも先に進んでみると












「───────心音!!!」




そこに心音がいた。