【心音side】
翔斗先輩に見送られ、あたしはその足でトイレに向かった。
違和感を感じだとはいえ、急に裏庭に連れていくなんて強引すぎたかな…
なんて思ったけどちゃんと話せてよかった…。
やっぱり翔斗先輩は過去と葛藤してたんだ…。
それでも先輩は今日、その過去を乗り越えて前に進む1歩を踏み出した。
隠れていた本当の先輩は全然不真面目そうじゃなくて。
むしろすごく真面目そうに見えた。
話し方や態度も一変。
1番遠い距離にいた翔斗先輩が1番近い存在になった、そんな気がする。
翔斗先輩にはきっと、気づいてないだけで周りにはたくさん人がいる。
優空くんはずっと、それを伝えたかったんだろうなって……今ならわかる。
「あ!!心音ちゃん!」
「あ…愛実ちゃん…!」
1人でお手洗いを終え、ドアを開けた時扉の外には愛実ちゃんがいた。
「さっきゆっくり話せなくてまた会えたらいいなって思ってたから嬉しい!!あれ…朝霧くん?は一緒じゃないの?」
「今は、その…違う人のところに移動中ってあうか……」
「え!なにその逆ハーレム。すごい…」
「い、いえ…。全然そんなんじゃないですよ…」
「やだなー、もう。敬語やめてよ、同級生だしっ!」
「うん、じゃあ…」
「うん」
愛実ちゃんはやっぱり可愛くて、なんだかふわふわしてて。
素直に羨ましいなって思った。