あれはあたしが中学生の頃の話--
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「心音!夏祭り一緒に行かない?」
そう声をかけてくれたのは中学生の時仲の良かった友達、叶愛(カンナ)ちゃん。
あたしは嬉しくて二つ返事で返しました。
「…うん。行きたい…!」
この頃は気弱だったけど、まだ男嫌いな訳ではありませんでした。
だから、クラスメートの男子に話しかけられても……
「おー柊!夏祭り行くんだ?」
「うん、叶愛ちゃんと一緒に…!」
ちゃんと話返してたし、好きな人だっていました。
あたしの好きだった人、宮城 一輝(ミヤシロ イツキ)くんは小学生の頃からずっと同じクラスで、元気で明るい男の子でした。
「夏祭り、心音たちも行くんだ?俺らも行くんだぜー!」
「あっ、一輝くん…!そうなんだ。会えるといいね…!」
「もぉ~心音はモテモテなんだから!ほら、あっちで夏祭りの事色々決めるよ!」
「叶愛ちゃんには負けるよ。あ、まって…!」
あたしは必死で叶愛ちゃんについて行きました。
「当日は6時に宮の前集合ね!当然、服装は浴衣で!とりあえずは…そのくらいかな!」
叶愛ちゃんはささっと決めてくれるからいつも助かるんです。
あたしも叶愛ちゃんみたいになりたいな、そう思ってました。
「いい?心音」
「もちろんです!」
こうして夏祭りに行くことが決まりました。