【心音side】
成田先輩と別れて、1人で翔斗先輩を詮索中…。
大丈夫です、とは言ったもののやっぱり少し不安だな…。
そんなことを思いながら歩いていると、少し先に人だかりを見つけた。
見るとそこには女の人ばかり。
………何だか嫌な予感…。
「はいはぁい。順番にね~」
「きゃー!次私~!!」
「何言ってんの!次は私よ!!」
「翔斗く~ん!私も~」
「押さないで~。皆撮ってあげるからさぁ」
…………………翔斗先輩。
そんな事だろうと思ってました…。
あたしにはあの中に入っていく勇気はないから、諦めて先輩に背を向けることに。
はぁ…、今から1時間ちょっとどうしよ…。
急な空き時間に動揺していると。
「あ、心音ちゃん!待って~」
後ろから先輩の声がした。
「……あの人たちはいいんですか」
何故か分からないけど、少しムッとして冷たくそう言い放つ。
あたし、こんな言い方も出来たんだ…。
「翔斗く~ん。どこいくの~?」
「皆さん、先輩を待ってるみたいですけど…」
「あ~、じゃあちょっと待ってて」
もう1度輪の中に戻る翔斗先輩。
待っててって事は戻ってくるってことだよね…?
わけも分からずあたしは先輩が何をするのか見守った。