「あ、心音ちゃーん!!!見ててね!」
「呼んだのは俺なんだけど…。ま、いっか」
成田先輩………可哀想…。
そう思いながらも、中原先輩の合図に応えた。
バンドが始まって数分。
どんどん人が増えてくる。
………これじゃ、成田先輩とはぐれちゃうかも…!
こんな人が多い所ではぐれたら心細くて仕方がないよ…。
でもだからと言ってはぐれない保証もないし…。
どうしよう───────
そう不安になっていた時。
「………っ!」
何かに右手が包まれる感じがした。
それが成田先輩の左手だという事に気づくのに時間はかからなくて。
不覚にもドキッとしてしまった。
「はぐれると大変だしね。2人だけの秘密だよ?」
人差し指を立ててそれを口にあてる仕草をとる先輩。
ただでさえ、顔が整いすぎてるのにそんな事すると…破壊力抜群です…。
「…は、はいっ…!」
成田先輩に握られている右手もやっぱり嫌だとは思わなくて。
その後は不安を抱えることもなく、バンドに集中できた。



