さーっと血の気がひくのが分かった。
「あ、えと、あの………」
「………ごめん。今のなし!聞かなかったことにして」
あたしの様子が明らかにおかしかったのか、先輩はすぐに訂正した。
だけど。
話さなきゃいけないってここ最近、ずっと考えてた。
部活や勉強もあって決して暇ではないはずなのに。
本当は嫌かもしれないのに。
毎日護衛をしてくれてる皆さん。
それなのにあたしは理由も何も言わず、人見知りとは言い難いほど避けたり、遠慮したりして…。
相手がいい気分なはずがない。
ましてや彼らはあたしになにかしたわけでもないし…。
それなのに皆は…護衛をやめようともしない。
それならあたしも覚悟を決めるべきなのかなって。
そう思えるくらいには、彼らを信用できるようになったから…。
だけどやっぱり、話すのが怖い気持ちもあって。
自分からは言い出せなかった。
だけど今、
成田先輩がきっかけをくれた今なら話せるかもしれない…。
……ううん。
むしろ今しかないような気がする。
それに…きっと成田先輩は気づいてる。
あたしが…男の子が苦手なことを。
話す、と決めたところで、急に皆の前で話す勇気はまだないから…せめて、先輩には今ここで話したい。
…………大丈夫。きっと受け入れてくれる。
今がチャンスなんだよ…
だから…頑張れ、あたし…。
「─────あの。聞いてくれませんか。あたしの……過去を」