柊はきっと…何かを抱えてる。
男が嫌いなのは嫌いなんだろうけど…、それもただ男嫌いってだけじゃなさそうだ。
こんなちっさい身体でどれだけの悲しみを1人で抱えてんのか、底知れないな。
俺がさっき柊に言った言葉は
────『…柊。俺はお前が泣いた理由を聞くつもりもないし、問いただしたりもしない。ただ無理だけはするな。辛い時は辛いって人を頼れ。お前が思ってる以上に周りのやつらは皆、お前のこと心配してるから』
全て嘘偽りのない俺の気持ち。
きっと俺以外にも、柊の心の奥底の悲しみに気づいてるやつはいる。
例えば………歩結。
歩結は柊と出会った当初から何となく気づいてたみたいだが………。
今はそれを更に強く認識しているらしく、何かと気にかけているのをよく見る。
歩結は正義感が強いからな…。
それから……………湊叶。
あいつもたぶん気づいてるはずだ。
女嫌いってスタンスがあるせいか、何も思ってないフリをしてるけど。
初めてあいつに会った頃とは、雰囲気とか態度が全く違う。
きっとそれは本人も気づいてねーんだろう。
あいつは自分が思ってるよりもずっと、柊を気にし始めている。
それに気づくのはおそらく
──────時間の問題だろう。
何はともあれ俺も、柊にこれ以上無理をして欲しくないのは同じ。
こいつの悲しみに満ちた表情を見たくない。
俺が─────守ってやりたい。
涙を流すことがないように。
1人で苦しむことがないように。
そう思う。