「よし、ここだ。入んぞ」
そしてたどり着いたそこは…
「え…、こ、ここに入るんですか………?」
あたしの大嫌いなお化け屋敷。
「あぁ」
「…で、でもあたし…………」
「俺、小さい頃から大好きなんだよ。お化け屋敷」
怖いから入れないんです、
そう言おうとした口を閉じた。
だってあまりにも悲しそうにそう言うから…。
そんな顔されると、入りたくないなんて言えなかった。
「…分かりました。入りましょう」
こうして大っ嫌いなお化け屋敷に脚を踏み入れた。
お化け屋敷に入って数分。
どうせ生徒が作ってるし少しは大丈夫かな
なんて考えてたのが間違いでした…。
「きゃー!!!!!!!!」
普段あまり声を荒げないあたしの高らかな声が響く。
少しでも気を抜けば倒れてしまうんではないかというほどの震えと、まだ寒くないはずなのに尋常じゃないくらいの冷えた手。
それから頬を伝う冷や汗。
傍から見ても異常なあたしの様子に朝霧くんも気づかないはずがなく。