愛実と話をしてるはずなのに、ちょっと気を抜くとあいつに視線がいく。
俺は女なんて嫌いで。
恋なんてくだらねーと思ってたはずなのに。
ここまで来るともう、ごまかしなんてきかねぇよ…。
だって
───あいつとする恋ならいいかもしれない。
なんて、そんな事を思ってしまったから。
「ねー、湊叶くんって好きな子できたりした?」
あいつが奏夢んとこ行った後、俺は愛実と廊下を歩く。
「…は?何で?」
「んー、何となく…かなぁ。雰囲気とゆーか!で?どうなの??」
「さーな。つか、恋ってよく分かんねーし」
なんてな。
わりぃ、愛実。
嘘なんかついて。
どうなるか分かんねーし、先のことなんて考えらんねー。
けど。
─────俺、あいつが好きみてぇだ。