黙って俺のモノになれ【上】


そこから先は、何がなんだかよく覚えてなくて。



『諦めよーぜ、駿』



気づいたら2人を追っ払ってた。


最後に去っていった男に



『…っつーか、彼氏じゃねー』



そう言った俺は女の方に体を向け、



『…お前もお前。帰った途端ナンパされてんじゃねーよ、めんどくせぇな』



そう言い放った。


けど───────────



『まぁでも、俺がこっちに用あった時でよかったんじゃねーの。中のヤツらは忙しすぎて気づかねぇだろーし』



こいつが謝ろうとした言葉に被せて、俺はまた俺らしくもねー言葉をあいつにぶつけた。


だってこいつの目が



───────すげぇ怯えてたから。



こいつが女だとかそーゆーのは関係なく…ただ、ほっとけなかったんだ。


考えれば



────こいつと話すのが嫌だと思わなかったのも。



────こうやって嫌いな女を助けるのも。



────無意識に意識してんのも。



『桐沢くん…っ!あの、ありがとうございました!』



満面の笑みを浮かべ、そう言うこいつ。



───────1つの答えに行きつくんじゃねーか。



そう思えば何だか妙にしっくりくる気がして。


あいつが受付に戻ってからも、俺は少しの間動き出す事が出来なかった。





───────………